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この道を選んだ理由 第一話

CAST
夜駆役:奏葉
左近役:蒼

編集:蒼
原作・台本:奏葉

小説はこちら

 

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CMつくりましたーw
この道を選んだ理由

 



台本

左近:こんなにも…こんなにも誰かを愛すことができるだなんて…。
   その時の俺には、まだ想像もつかなかった。
   
   だけど、あの強引さに流されたのは正解だったのかもしれない。
   だからこそ、俺は…、この道を選んだのだ・・・。

 

夜駆:こんなにも…こんなにも誰かを愛すことができるだなんて…。
   その時の俺には、まだ想像もつかなかった。

   だけど、約束を忘れずに声を掛けたのは正解だったのかもしれない。
   だからこそ、俺は…、この道を選んだのだ…。
 


そよ風が気持ちいい。

首都プロンテラの南門をぬけると草原が広がっていた。
所々に木々が植えてあり、風が吹くとまるで唄っているかのように葉が靡く。

空は晴天、雲一つなく太陽がとてもまぶしい。

「うーーんっ」

ぐいっと背伸びをしてアコライトの装束を着た男、左近はその野原に寝ころんだ。
少し行儀が悪いかと思ったが、こんなに昼寝日和なのだ。少しくらい神様も許してくれるだろう。
「気持ちいい風だ…」

風に揺れて草花が揺れる音だけが支配するこの場所で、左近は一時の幸せを貪っていた。
ソードメイスも足と一緒に放りだし、のんびりと何でもない"ただの空"を見上げる。

そんな時間が大好きだ。
のんびりと空の顔が変わっていったり、雲が流れていったりと静かでゆったりとした時間を過ごす…、これほどの幸せがあるだろうか?

天気のいい日は決まってこの木の側に来る。
太陽の激しい熱光線から丁度よい日差しに変えてくれるからだ。
ここは左近のお気に入りの場所だった。

暖かな太陽の日差しを浴び、うとうとと夢心地になる。
幸いこの場所には攻撃的な化け物はいないから、安心して寝られるというものだ。

だが、その穏やかな時間はいとも簡単に崩れ去った。

というのも、うとうととようやく夢の扉を開こうというときに誰かの声が聞こえ、現実の世界に呼び戻されてしまったからだ。

「なぁ!あんたオレと一緒に旅をしないか?」

上から声が聞こえる。

うつらうつらしていた意識の中で見たその声の主に、左近は心を奪われていた。

ぱっちりと目を覚ますと、そこにあったのは見覚えのない一人の青年の顔、年は同じくらいか、もしくは年下か?

魔法使いの装束を身に着けたその青年のにっこりと微笑んだ表情は、空の太陽よりも明るく見えて、風になびく長い髪は今まで見ていた空と同化するように細くてきれいな蒼色をしている。ぴんぴんと跳ねたライオンヘアーはあの元気な声の象徴か?

そして何より目を引いたのは、珍しい大きな碧色の瞳。

一瞬だけ言われたことがよくわからずに、左近はおそるおそる自分を指さして首をかしげると、そのままの笑顔のまま、声をかけてきた同じく魔法使いは、嬉しそうにこくんこくんと何度も頷いた。

「なんで…俺?」
そのままの状態で苦笑いを浮かべつつ、そう答えると碧瞳の魔法使いはふふんと鼻を鳴らし、両手を腰に当て威張るように言い放った。

「ひまそうだったから!!」

・・・・・・・・・・・・・

まぁ、まて。とりあえず話を聞こうか…

「とりあえずここに座れ」
「んぁ?」

正座をして自分の前を指さし、左近は眉をひくつかせながらも相手が座るのを待った。
目の前にどっかりと腰を下ろす碧瞳の魔法使いを横目で見ながら話し始める。

「確かに暇そうには見えるかもしれないが…」
「じゃあいいじゃんー」
「話を聞けっ!」
「むー」

ぷくぅとふくれる頬に肩の力が抜ける。
その表情が不覚にもかわいく見えて左近は頬が紅くなるのを押さえるために盛大にため息を吐いた。

「だいたい名前も知らない奴と一緒には行けねぇよ…」
「オレ、夜駒っていうんだっ魔術師を目指してる」

ぐいっと目と鼻の先まで近づかれてにっこり笑われる。
一瞬びくついて話せるまでに身体を離れると、その勢いに口を開いた。

やばい、近くで見るとめちゃくちゃかわいい…
口がにやけるのを押さえるために片手で口を押さえる。
ふいっと横を向き視線だけを夜駒に向けた。

「俺は…左近…聖職者を目指してる…」
「うん…知ってる…」

流されてしまった自分に腹を立てながら今度は完全に視線まで遠くの空に泳がしたが、自分を「知っている」と言った夜駒にもう一度視線を合わせた。
「なぜ自分を知っているのか?」と訪ねようと口を開けたものの、その声が出る前に夜駒は満足そうに笑いながら碧の瞳を輝かせ「これで無問題だよな」等と言いながら、がばっと両腕を左近の首に掛けたかと思うと、左近は訪ねようとした口もそのままに、一瞬動けずに硬直した。

はっ

気がつけば左近は夜駒を直視し、必死で隠していた頬の赤みを露にする。

「あ…ああ…」
「本当!?」
「ああ…わかったからどいてくれ…」

懇願するように視線をそらしながら言えば意気揚々と夜駒は離れ、すっと右手を差し出して微笑んだ。

「これからよろしく、左近」

それが本当に、ほんとーーっに嬉しそうで…。
気がついたら左近は自分でも気がつかないうちに頷き、右手を重ねた。
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